THe New look of tea

THe New look of tea

茶の湯において重要なのは、総合的な美の配置だ。主役となる道具はあるものの、どれかひとつだけを鑑賞するのでは、それは茶の湯とは呼べない。そうした意味で、茶の湯は建築的な空間感覚を必要とする。さらにいえば、新しい空間においては、新しい茶の湯の美の配置が生まれるのである。

場所:

場所:

バンドルハウス(茂木邸)

バンドルハウス(茂木邸)

床:

床:

「無関(むかん)」 天目山高峯原妙

「無関(むかん)」 天目山高峯原妙

花入:

花入:

砧青磁(宋時代)

砧青磁(宋時代)

釜:

釜:

名越浄味

名越浄味

水指:

水指:

屋久杉鶴瓶水指 村瀬治兵衛

屋久杉鶴瓶水指 村瀬治兵衛

建水:

建水:

南蛮

南蛮

茶入:

茶入:

古瀬戸

古瀬戸

茶碗:

茶碗:

御本茶碗 銘:若葉

御本茶碗 銘:若葉

人と人の出会いの中で作品は生まれ、振り返るとあの時が転機であったと思う場面が、いくつかある。故・茂木信三郎氏との出会いもその一つだ。
 当時マンズワインの社長だった茂木氏は、車検の合間に、ふらっと世田谷の工房に立ち寄り、村瀬治兵衛が初めて塗った銀彩の作品を「面白い」と買い求めた。今でこそ銀彩は村瀬治兵衛の代表的な作風のひとつだが、20年前は、一代目が残した銀を恐る恐る塗りはじめたばかりだった。自信も確信もない頃に背中を押されたことで、その方向に光が見えた。
 その茂木氏が新婚当初に建てたのが現在のバンドルスタジオであり、茂木氏の築100年の日本家屋の自宅が茂木邸である。それぞれの空間で、茶会をひらく機会をいただいた。
 モダンな空間と日本家屋。それぞれの空間が生んだ、総合的な美の配置をご覧いただきたい。

人と人の出会いの中で作品は生まれ、振り返るとあの時が転機であったと思う場面が、いくつかある。故・茂木信三郎氏との出会いもその一つだ。
 当時マンズワインの社長だった茂木氏は、車検の合間に、ふらっと世田谷の工房に立ち寄り、村瀬治兵衛が初めて塗った銀彩の作品を「面白い」と買い求めた。今でこそ銀彩は村瀬治兵衛の代表的な作風のひとつだが、20年前は、一代目が残した銀を恐る恐る塗りはじめたばかりだった。自信も確信もない頃に背中を押されたことで、その方向に光が見えた。
 その茂木氏が新婚当初に建てたのが現在のバンドルスタジオであり、茂木氏の築100年の日本家屋の自宅が茂木邸である。それぞれの空間で、茶会をひらく機会をいただいた。
 モダンな空間と日本家屋。それぞれの空間が生んだ、総合的な美の配置をご覧いただきたい。

場所:

場所:

甘露寺邸

甘露寺邸

茶碗:

茶碗:

黒織部 高内秀剛

黒織部 高内秀剛

水指:

水指:

欅水指 村瀬治兵衛

欅水指 村瀬治兵衛

茶入:

茶入:

根来塗鉈削 村瀬治兵衛

根来塗鉈削 村瀬治兵衛

釜:

釜:

打出方形銅釜 金子透

打出方形銅釜 金子透

都会の真ん中でありながら うっそうと茂る森の中にたたずむ甘露寺邸で茶会の機会をいただきました。甘露寺芳子さんは空間プロデュースの先駆けとも言える尊敬する方。中庭を望む2階建ての邸宅のような空間には、世界中から集められた暮らしを美しく彩る品々がありました。それらと治兵衛の漆作品をコーナーごとにしつらえてくださり、素敵なアイディアをじっくり学ばせていただくことができました。豊かな感性と上質な暮らしを体感する一日でした

都会の真ん中でありながら うっそうと茂る森の中にたたずむ甘露寺邸で茶会の機会をいただきました。甘露寺芳子さんは空間プロデュースの先駆けとも言える尊敬する方。中庭を望む2階建ての邸宅のような空間には、世界中から集められた暮らしを美しく彩る品々がありました。それらと治兵衛の漆作品をコーナーごとにしつらえてくださり、素敵なアイディアをじっくり学ばせていただくことができました。豊かな感性と上質な暮らしを体感する一日でした

場所:

場所:

在英日本大使館

在英日本大使館

水指:

水指:

欅水指 村瀬治兵衛

欅水指 村瀬治兵衛

茶入:

茶入:

銀彩鉈削水指  村瀬治兵衛

銀彩鉈削水指  村瀬治兵衛

茶碗:

茶碗:

小川待子

小川待子

茶碗:

茶碗:

安食ひろ

安食ひろ

茶杓:

茶杓:

桑茶杓 村瀬治兵衛

桑茶杓 村瀬治兵衛

ロンドンの日本大使館で、村瀬治兵衛は「The New Look of Tea 新しいお茶の楽しみ方」というタイトルの講演をした。そこで彼は、木地師の話や、自身の代表的な作風である「鉈削」の話をした。彼の作品や、現代アーティストの作品が多数展示される中、村瀬治兵衛は自身の作品を用いて茶を点てた。一見して、堅い木を重い斧で叩き割ったかのような、大胆で力強いフォルムの鉈削茶入が、静かに浮かび上がるように蓋と器に分かれる様を見て、道具の精密さと内側に秘められた繊細な美に観客は興奮した。このときの展示が、ビクトリア&アルバート美術館への収蔵につながった。

ロンドンの日本大使館で、村瀬治兵衛は「The New Look of Tea 新しいお茶の楽しみ方」というタイトルの講演をした。そこで彼は、木地師の話や、自身の代表的な作風である「鉈削」の話をした。彼の作品や、現代アーティストの作品が多数展示される中、村瀬治兵衛は自身の作品を用いて茶を点てた。一見して、堅い木を重い斧で叩き割ったかのような、大胆で力強いフォルムの鉈削茶入が、静かに浮かび上がるように蓋と器に分かれる様を見て、道具の精密さと内側に秘められた繊細な美に観客は興奮した。このときの展示が、ビクトリア&アルバート美術館への収蔵につながった。